いらっしゃいませ。 こんにちは。 こんにちは、本日はどのようなご相談でしょうか。 あの、家を売りたいと思っていまして。 かしこまりました。 東京にあるご自宅でしょうか。 はい、練馬区にあります。 そうですか。 まず、少し詳しくお話を伺ってもよろしいですか。 はい、お願いします。 こちらの相談シートに、お名前だけご記入いただけますか。 はい。 えっと、ここですね。 はい、そちらです。 書きました。 ありがとうございます。 では、ご自宅は一戸建てですか。 はい、二階建ての一戸建てです。 築何年ぐらいでしょうか。 たしか、二十二年です。 二十二年ですね。 土地と建物は、奥様の名義でしょうか。 はい、今は私の名義です。 承知しました。 住宅ローンはまだ残っていますか。 いいえ、もう全部返しました。 それでしたら、手続きは比較的進めやすいですね。 そうなんですね。 こういうことは初めてなので、少し不安で。 もちろんです。 家を売るのは大きなことですから、不安になりますよね。 はい。 主人が亡くなってから、一人で住んでいるんです。 そうでしたか。 お話しくださってありがとうございます。 子どもたちも独立しましたし、家が少し広すぎて。 なるほど。 階段も最近ちょっと大変なんです。 それで、売却を考え始めたんですね。 はい。 もう少し小さいマンションに移ろうかなと思っています。 とても自然なご判断だと思います。 売却の時期は、もう決めていますか。 いえ、まだです。 できれば、あまり急ぎたくはないんです。 はい、急いで売る必要はありません。 条件を見ながら進めることもできます。 それを聞いて安心しました。 ちなみに、今もその家にお住まいですか。 はい、住んでいます。 では、住みながら売却活動をする形も可能です。 住んでいても大丈夫なんですか。 はい、大丈夫です。 ただ、購入希望の方が家の中を見ることがあります。 ああ、内見ですね。 はい、そうです。 毎週来られると、少し困りますね。 もちろん、奥様のご都合に合わせます。 勝手に予定を入れることはありません。 それならよかったです。 たとえば、土曜日の午後だけという決め方もできます。 それくらいなら大丈夫そうです。 では、次に家の広さを教えていただけますか。 土地が百二十平方メートルぐらいです。 建物は、たしか九十五平方メートルくらいだったと思います。 ありがとうございます。 最寄り駅はどちらですか。 石神井公園駅です。 駅から歩いてどのくらいでしょう。 十五分くらいです。 バスもありますか。 はい、近くにバス停があります。 周辺にスーパーや学校はありますか。 スーパーは歩いて五分くらいです。 小学校も近いですよ。 それは大きなポイントですね。 そうなんですか。 はい、特にご家族で家を探している方には魅力があります。 なるほど。 それで、いくらぐらいで売れそうでしょうか。 そこが一番気になりますよね。 はい、正直に言うと。 今のお話だけでは、正確な金額は出せません。 まずは査定が必要です。 査定にはお金がかかりますか。 いいえ、当社の査定は無料です。 そうですか。 最初に資料を確認して、その後、実際に家を見せていただきます。 家の中も全部見るんですか。 基本的には、建物の状態を確認させていただきます。 キッチンやお風呂、屋根、外壁なども見ます。 少し片づけたほうがいいですね。 普段の状態でも大丈夫ですよ。 査定ですから、無理にきれいにする必要はありません。 本当ですか。 実は、二階の部屋に荷物がたくさんあって。 問題ありません。 ただ、実際に売り出すときは、少し整理すると印象がよくなります。 やっぱりそうですよね。 はい、でも一度に全部やる必要はありません。 それなら助かります。 家の修理が必要なところはありますか。 二階の窓が一つ、少し開けにくいです。 それと、お風呂も古くなっています。 わかりました。 売る前に修理するか、そのまま売るかは査定後に考えましょう。 修理したほうが高く売れますか。 場合によります。 高い費用をかけても、その分だけ価格が上がるとは限りません。 そうなんですね。 ですから、先に大きなリフォームをするのはおすすめしません。 危ないところでした。 お風呂を全部新しくしようかと思っていました。 まずは現状を見てからで十分ですよ。 はい、そうします。 ところで、希望されている売却価格はありますか。 できれば、五千万円くらいで売れたらと思っています。 五千万円ですね。 その金額も含めて、周辺の取引事例を確認します。 近所の家が六千万円で売れたと聞いたんです。 そうでしたか。 ただ、土地の広さや築年数、道路の向きでも価格は変わります。 同じ町でも違うんですね。 はい、かなり違うことがあります。 安く言われたらどうしようと思っていました。 お気持ちはよくわかります。 査定価格の理由も、資料を見ながらご説明します。 それなら安心です。 それから、売却には仲介手数料などの費用もかかります。 あ、それも知りたかったんです。 はい、売れた金額がそのまま全部残るわけではありません。 税金もありますか。 状況によってはあります。 所有期間や取得したときの金額などで変わります。 難しそうですね。 そうですね。 必要であれば、税理士への相談もご案内できます。 お願いします。 一人では、ちょっと自信がなくて。 大丈夫ですよ。 一つずつ確認して進めましょう。 ありがとうございます。 なんだか少し気持ちが楽になりました。 それはよかったです。 では、まず無料査定の日を決めましょうか。 はい。 来週の火曜日なら家にいます。 火曜日ですね。 午前と午後では、どちらがよろしいですか。 午前中がいいです。 では、十時はいかがでしょうか。 はい、大丈夫です。 承知しました。 来週の火曜日、午前十時に伺います。 よろしくお願いします。 こちらこそ、よろしくお願いいたします。 今日は来てよかったです。 そう言っていただけてうれしいです。 まだ本当に売るか、少し迷っていますけど。 もちろん、査定をしたからといって売る必要はありません。 え、本当ですか。 はい。 ご家族と相談してから決めていただいて大丈夫です。 それなら、まず家の価値を知りたいです。 はい、それが一番いいと思います。 主人との思い出が多い家なので、簡単には決められなくて。 そうですよね。 大切なお家ですから、急がずに考えてください。 ありがとうございます。 その言葉を聞いて、安心しました。 では、火曜日にしっかり拝見しますね。 はい、よろしくお願いします。 本日はありがとうございました。 こちらこそ、ありがとうございました。 おはようございます。 あの、今日からこちらで働くことになりました。 はい、聞いています。 中国支社から来た李さんですね。 はい、李です。 よろしくお願いいたします。 こちらこそ、よろしくお願いします。 私は営業部の佐藤です。 今日から李さんの上司になります。 はい、よろしくお願いします。 日本にはいつ着いたんですか。 おとといの夜です。 そうなんですね。 では、まだ来たばかりですね。 はい、まだ少し緊張しています。 それはそうですよね。 海外で生活するのは大変だと思います。 はい、でも楽しみでもあります。 それならよかったです。 日本語は中国で勉強していたんですか。 はい、三年ぐらい勉強しました。 とても上手ですよ。 いえ、まだ仕事の日本語は難しいです。 会議も少し心配です。 最初から全部わからなくても大丈夫ですよ。 わからないときは遠慮なく聞いてください。 ありがとうございます。 少し安心しました。 今日は初日ですから、まず会社のことを説明しますね。 はい、お願いします。 その前に、荷物はそこに置いて大丈夫ですよ。 あ、ありがとうございます。 ずっと持っていました。 そうだったんですね。 緊張していましたか。 はい、かなり。 ふふ、大丈夫ですよ。 みんな優しい人ですから。 よかったです。 では、李さんの席を案内します。 はい。 窓の近くの席です。 あの席ですか。 はい、そうです。 明るくていいですね。 そうですね。 ただ、午後は少しまぶしいかもしれません。 そのときはどうすればいいですか。 ブラインドを下げて大丈夫です。 わかりました。 パソコンはもう用意してあります。 こちらが会社のスマホです。 ありがとうございます。 パスワードはどこにありますか。 最初のパスワードは、この紙に書いてあります。 あとで自分で変更してください。 はい、わかりました。 メールの設定はできそうですか。 たぶん大丈夫です。 でも、社内システムは初めてです。 それはあとで田中さんが説明します。 田中さんですか。 はい、同じチームの方です。 李さんの仕事をよく手伝ってくれると思います。 それは助かります。 李さんは中国ではどんな仕事をしていましたか。 主に法人のお客様を担当していました。 商品の説明や契約の仕事です。 こちらでも基本的には同じです。 ただ、日本のお客様とのやり取りが増えます。 はい。 そこが一番不安です。 電話ですか、それともメールですか。 特に電話です。 相手の話すスピードが速いと、わからなくなります。 ああ、それは難しいですよね。 最初は無理に一人で対応しなくて大丈夫です。 本当ですか。 はい。 最初の一週間は、できるだけ先輩と一緒に対応しましょう。 ありがとうございます。 助かります。 それから、お客様の名前や会社名が聞き取れないときもあります。 はい、それも心配です。 そのときは、もう一度お願いしますと言えば大丈夫です。 そうですか。 はい。 わかったふりをするほうが危ないですから。 なるほど。 気をつけます。 あと、日本の会社で少し慣れにくいことはありますか。 まだわかりませんが、会議のルールが気になります。 そうですね。 うちの会社はあまり厳しくないですよ。 そうなんですか。 はい。 でも、会議には五分ぐらい前に来る人が多いです。 わかりました。 発言するときも、完璧な日本語じゃなくて大丈夫です。 それを聞いて安心しました。 李さんは中国支社の経験がありますから、ぜひ意見を言ってください。 はい、できるだけ頑張ります。 頑張りすぎなくても大丈夫ですよ。 えっ。 初日から無理をすると疲れますから。 ああ、たしかにそうですね。 昨日はよく眠れましたか。 実は、あまり眠れませんでした。 やっぱり緊張していたんですね。 はい。 それと、家のエアコンの使い方がわからなくて。 ふふ、それは大変でしたね。 夜中にずっとリモコンを見ていました。 日本語だけのリモコンですか。 はい。 ボタンが多くて困りました。 写真を見せてもらえれば、あとで説明しますよ。 本当ですか。 ありがとうございます。 生活のことでも、困ったら相談してください。 仕事以外のことでも大丈夫ですか。 もちろんです。 日本に来たばかりですから。 すみません。 では、一つ聞いてもいいですか。 はい、どうぞ。 会社の近くで、お昼ご飯はどこで食べますか。 ああ、それは大事ですね。 近くにコンビニもありますし、定食屋もあります。 定食屋に行ってみたいです。 では、今日はチームのみんなで行きましょうか。 え、本当ですか。 はい、歓迎ランチにしましょう。 ありがとうございます。 とてもうれしいです。 でも、苦手な食べ物はありますか。 特にありません。 ただ、納豆はまだ少し苦手です。 ふふ、正直ですね。 昨日初めて食べました。 どうでしたか。 味より、まず見た目にびっくりしました。 それはよくわかります。 では今日は納豆のない店にしましょう。 ありがとうございます。 さて、そろそろ朝のミーティングが始まります。 はい。 自己紹介をしたほうがいいですか。 はい、短くで大丈夫です。 少し緊張します。 大丈夫ですよ。 私が最初に紹介しますから。 ありがとうございます。 それに、みんな李さんが来るのを楽しみにしていました。 そうなんですか。 はい。 中国支社の話も聞きたいと言っていましたよ。 それなら、少し安心です。 では、一緒に行きましょう。 はい。 佐藤さん、今日は本当にありがとうございます。 いいえ。 今日から同じチームですから。 はい、よろしくお願いします。 こちらこそ。 ゆっくり慣れていきましょう。 こんにちは。 ご搭乗手続きですね。 はい、お願いします。 パスポートを拝見してもよろしいですか。 はい、どうぞ。 ありがとうございます。 本日はロサンゼルスまでですね。 はい、そうです。 お預けになるお荷物はありますか。 はい、このスーツケース一つです。 では、こちらの台に載せてください。 はい。 少々お待ちください。 はい。 あの、お客様。 はい。 こちらのお荷物ですが、重量制限を超えています。 えっ、本当ですか。 はい。 現在、二十六キロあります。 二十六キロですか。 はい。 無料でお預かりできるのは二十三キロまでです。 ああ、そうなんですね。 すみません、知りませんでした。 大丈夫ですよ。 三キロほど超えていますね。 どうすればいいですか。 方法はいくつかあります。 はい。 追加料金をお支払いいただくこともできます。 または、荷物を少し出していただいても大丈夫です。 追加料金はいくらですか。 この場合は、一万円になります。 一万円ですか。 ちょっと高いですね。 そうですね。 もし機内持ち込みのお荷物に余裕があれば、移すこともできます。 小さいバッグがあります。 でも、そんなに入りません。 中に重いものはありますか。 えっと、本が何冊かあります。 それと、お土産もたくさん買いました。 なるほど。 本を少し移すだけでも変わるかもしれません。 ここでスーツケースを開けてもいいですか。 はい。 あちらのスペースで整理できます。 わかりました。 少しやってみます。 はい、こちらでお待ちしています。 すみません。 この本を三冊出しました。 では、もう一度重さを確認しましょう。 お願いします。 今は二十四キロですね。 まだ一キロ多いんですか。 はい、そうですね。 困りました。 もうバッグがいっぱいです。 そうですか。 少し中を確認してもよろしいですか。 はい。 あの、こちらはモバイルバッテリーですか。 はい、そうです。 これはスーツケースに入れたまま預けることができません。 えっ、そうなんですか。 はい。 モバイルバッテリーは機内持ち込みのお荷物に入れてください。 全然知りませんでした。 すみません。 大丈夫ですよ。 よくあることです。 では、これもバッグに入れます。 はい、お願いします。 あれ。 こっちにも一つあります。 二つお持ちなんですね。 はい。 旅行中に一つ買いました。 では、二つとも手荷物に入れてください。 わかりました。 これで大丈夫ですか。 はい。 もう一度スーツケースを載せていただけますか。 はい。 ありがとうございます。 今は二十三キロです。 ちょうどですか。 はい、ちょうど二十三キロです。 よかったです。 本当に安心しました。 では、このまま無料でお預かりできます。 ありがとうございます。 追加料金を払わなくてよくなったんですね。 はい、大丈夫です。 よかったです。 念のため確認しますが、スーツケースの中にほかの予備バッテリーはありませんか。 えっと、たぶんありません。 少し待ってください。 はい。 スマホの充電器はあります。 普通の充電器でしたら大丈夫です。 そうですか。 ただし、バッテリーが入っているものは確認が必要です。 わかりました。 ほかにはありません。 承知しました。 では、お荷物をお預かりします。 はい、お願いします。 こちらが搭乗券です。 ありがとうございます。 搭乗口は五十二番です。 出発時刻の前に余裕を持ってお越しください。 はい、わかりました。 さっきは本当に助かりました。 いえいえ。 無事に解決してよかったです。 はい。 これで安心して帰れます。 どうぞお気をつけて。 よいご旅行を。 ありがとうございます。 美咲、ちょっといいか。 うん、なに。 さっきから大きいバッグを持ってるけど、どこか行くのか。 あ、うん。 これから友だちの家に行く。 そうなのか。 誰の家だ。 奈々の家。 奈々ちゃんか。 前にうちに来た子だよな。 うん、そう。 何時に帰ってくるんだ。 えっと。 ん。 そのことなんだけど。 なんだ。 今日、奈々の家に泊まってもいい。 え。 一晩だけ。 ちょっと待て。 泊まるなんて聞いてないぞ。 今言おうと思ってた。 今って、出かける直前じゃないか。 ごめん。 お母さんは知ってるのか。 たぶん。 奈々のお母さんとメッセージしてたと思う。 それはお母さん同士の話だろ。 美咲からは何も聞いてない。 だって、言ったら反対すると思ったから。 反対するかどうかは、話を聞いてから決める。 でも、みんな泊まるんだよ。 みんなって誰だ。 奈々と、彩香と、私。 三人か。 うん。 奈々ちゃんのご両親は家にいるのか。 いるよ。 本当に。 本当だって。 その言い方はやめなさい。 ごめんなさい。 お父さんは、泊まること自体が絶対だめだと言ってるんじゃない。 じゃあ、いいの。 まだ話の途中だ。 はい。 どうして最初から言わなかった。 ちょっと言いにくかった。 何が。 最近、お父さんすぐ心配するから。 それは心配するだろ。 わかってるけど。 美咲はまだ高校生だ。 もう十六歳だよ。 まだ十六歳だ。 そう言うと思った。 ほら、またそうやって先に決める。 だって。 それに、そのバッグ。 なに。 一晩にしては大きくないか。 パジャマと着替えが入ってるだけ。 本当に。 あと、ゲーム。 ゲーム。 みんなでやるの。 宿題は。 持っていく。 そのバッグに。 うん。 見せてみろ。 ええ。 確認するだけだ。 ちょっと待って。 なんで待つんだ。 別に。 美咲。 わかったよ。 はい。 これはなんだ。 お菓子。 ずいぶん多いな。 三人で食べるから。 これは。 ジュース。 重いわけだ。 そうかも。 で、これ。 あ。 メイク道具がこんなに必要なのか。 写真撮るの。 なるほど。 変なことしないよ。 わかってる。 じゃあ、そんな顔しないで。 どんな顔だ。 疑ってる顔。 疑ってるんじゃない。 急に聞いたから驚いただけだ。 ごめん。 奈々ちゃんの家は駅の近くだったか。 ううん、駅から少し遠い。 歩くのか。 バスで行こうと思ってた。 その大きいバッグで。 大丈夫だよ。 外、雨が降りそうだぞ。 え、そうなの。 天気予報で言ってた。 傘、持ってない。 まったく。 じゃあ、やっぱり車で送ってくれる。 最初からそれが目的だったのか。 違うよ。 でも、送ってくれたら助かる。 その前に、奈々ちゃんのお母さんに確認する。 ええ。 当然だろ。 恥ずかしいよ。 何が恥ずかしいんだ。 私だけ子どもみたい。 泊めてもらうんだから、一言あいさつするのは普通だ。 そうだけど。 電話番号はわかるか。 お母さんが知ってる。 じゃあ、お母さんに聞く。 待って。 今度はなんだ。 奈々のお母さん、本当に知ってるから。 うん。 昨日、奈々と一緒に聞いたの。 じゃあ、最初からそう言えばいい。 怒られると思った。 怒ってない。 ちょっと怒ってる。 ちょっとだけな。 やっぱり。 でも、泊まることより、隠してたことにだ。 ごめんなさい。 次からは先に言いなさい。 うん。 何時ごろ帰ってくる。 明日の午後。 何時。 三時くらい。 じゃあ、三時ごろ迎えに行く。 え。 なんだ。 迎えにも来るの。 嫌なら駅まで自分で帰ってきてもいい。 いや、来て。 どっちなんだ。 迎えに来てください。 素直でよろしい。 ありがとう。 ただし、条件がある。 なに。 着いたらメッセージする。 うん。 予定が変わったら連絡する。 うん。 夜遅くに外へ出ない。 わかった。 あと、宿題もやる。 それは関係ないでしょ。 大いに関係ある。 はいはい。 はいは一回。 はい。 よし。 じゃあ、送ってくれるの。 送る。 本当に。 その代わり、奈々ちゃんのお母さんにはちゃんとあいさつするぞ。 車から降りるの。 当たり前だ。 絶対、変なこと言わないでね。 変なことってなんだ。 子どものころの話とか。 ああ、お風呂で寝た話か。 絶対やめて。 冗談だ。 もう。 ほら、出る準備しろ。 うん。 傘も持っていけ。 はーい。 返事は。 はい。 それでいい。 お父さん。 ん。 最初からちゃんと言わなくて、ごめん。 次は気をつければいい。 うん。 楽しんでこい。 ありがとう。 ちゃんと診察券、持ってきた。 うん、さっき受付に出したよ。 保険証も。 出した。 そう。 お母さん、心配しすぎ。 だって、あなた忘れ物が多いでしょう。 今日は大丈夫だって。 大学の学生証も先週忘れたじゃない。 あれはたまたま。 たまたまが多いのよ。 はいはい。 はいは一回。 はい。 それで、最近ちゃんと寝てるの。 まあまあ。 まあまあって何時間。 六時間くらい。 少ないじゃない。 就活中だから仕方ないよ。 また面接あったの。 うん、昨日。 どうだった。 たぶん悪くなかったと思う。 たぶん。 面接って、終わったあとよくわからないんだよ。 どんな会社。 食品関係の会社。 前に言ってたところ。 うん、営業職。 営業かあ。 その反応なに。 別に反対じゃないわよ。 ただ、あなた人前で話すの苦手だったでしょう。 高校のときの話でしょ。 今は違うの。 少しは成長したよ。 面接で緊張しなかった。 したよ。 最初、声がちょっと変だった。 変だったって。 自分でもわかるくらい高かった。 ふふ。 笑わないでよ。 ごめん、ごめん。 でも、ちゃんと話せたんでしょう。 途中からはね。 何を聞かれたの。 大学で頑張ったこととか。 なんて答えた。 ゼミの研究。 ああ、地域の商店街の。 そう。 グループで調査した話をした。 それはいいじゃない。 でも、ちょっと長く話しすぎたかも。 あなた、説明し始めると長いからね。 お母さんに言われたくない。 どういう意味。 そのままの意味。 失礼ね。 でも本当でしょ。 まあ、少しはね。 少しじゃないよ。 それで、ほかにも面接受けたんでしょう。 うん、今月は三社。 そんなに。 就活だと普通だよ。 全部違う仕事。 一つは営業で、一つは企画。 もう一つは物流会社。 どれが一番よかった。 正直、企画の会社かな。 どうして。 社員の人が話しやすかった。 それは大事ね。 うん。 面接なのに、あまり怖くなかった。 怖い面接官もいたの。 いたよ。 ずっと真顔の人。 質問は難しかった。 難しいというより、答えたあとすぐ次の質問が来るの。 休む時間がないのね。 そう。 頭がずっと忙しかった。 でも、よく頑張ってるじゃない。 まだ結果出てないけどね。 結果だけが全部じゃないわよ。 お母さん、今日は優しいね。 今日はって何よ。 家だともっと言うじゃん。 ちゃんと準備したの、とか。 だって心配だから。 わかってる。 大学は最近どうなの。 卒論がちょっと大変。 就活と両方だものね。 うん。 来週、先生に途中の内容を見せないといけない。 進んでる。 半分くらい。 本当に。 その顔やめて。 だって前も半分って言ってたでしょう。 あのときより進んでる半分。 何それ。 気持ちとしては七割。 じゃあ七割じゃないの。 文章は半分。 よくわからないわね。 僕もよくわからない。 大丈夫なの。 たぶん。 またたぶん。 でも先生には相談してるよ。 それなら少し安心。 先生も、就活中だから無理するなって。 いい先生ね。 うん、かなり助かってる。 大学、入ってよかった。 急にどうしたの。 入学したころは、ちゃんと続くか心配だったのよ。 僕も心配だった。 そうなの。 最初、友だち全然できなかったし。 言わなかったじゃない。 言ったら心配するでしょ。 するわよ。 だから言わなかった。 親には少しくらい言っていいのよ。 今は友だちいるから大丈夫。 ゼミの人たち。 うん。 就活の相談もしてる。 みんな同じ時期だものね。 そう。 一人だけもう内定もらった。 それを聞くと焦る。 ちょっとね。 比べなくていいのよ。 わかってるけど。 あなたにはあなたのペースがあるでしょう。 うん。 でも、寝る時間は増やしなさい。 結局そこ。 今日も健康診断で注意されたらどうするの。 まだ診てもらってないよ。 顔が疲れてるもの。 面接の準備で夜遅かったから。 昨日も。 うん。 何時に寝た。 二時。 声大きいよ。 病院だから小さくします。 お願いします。 でも二時は遅い。 わかったって。 本当に。 今日から少し早く寝る。 少しじゃなくて。 はいはい。 はいは一回。 はい。 それで、次の面接はいつ。 金曜日。 今度はどこ。 企画の会社の二回目。 あら、進んだのね。 うん、昨日メール来た。 なんで言わなかったの。 まだ決まったわけじゃないし。 でも、うれしいじゃない。 まあね。 よかったじゃない。 うん。 ちょっとだけ自信出た。 その調子よ。 でも次、部長面接なんだって。 また緊張するわね。 今からもう緊張してる。 大丈夫。 昨日より声が高くてもいいじゃない。 それは嫌だな。 ふふ。 でも、まあ頑張るよ。 うん。 無理しすぎないで頑張りなさい。 難しい言い方だね。 そう。 でも、ありがとう。 どういたしまして。 あ、次、僕の名前呼ばれそう。 じゃあ、ちゃんと先生に寝不足のこと言うのよ。 言わないよ。 言いなさい。 お母さんが言わないでよ。 それはあなた次第ね。 やっぱり一人で来ればよかった。 でも来てほしいって言ったの、あなたでしょう。 それは帰りにご飯食べるから。 はいはい。 はいは一回。 生意気ね。 ふふ。 久しぶり。 ほんとに久しぶりだね。 何か月ぶりだろう。 四か月くらいじゃない。 そんなに会ってなかったか。 会ってないよ。 何回も予定合わなかったし。 ごめん。 仕事がちょっと大変で。 私も同じだよ。 家のこともいろいろあったし。 もう落ち着いた。 うん、だいぶね。 それならよかった。 そっちは。 僕も最近やっと少し落ち着いた。 顔見ればわかる。 え、そんなに。 前より元気そう。 そうかも。 なんかいいことあった。 え。 その反応、あやしい。 まだ何も言ってないだろ。 だからあやしいの。 とりあえず注文しようよ。 逃げた。 逃げてない。 はいはい。 何食べる。 この店、魚がおいしいんだよね。 じゃあ、刺身頼む。 うん。 あと、このだし巻き卵。 前も頼んでたね。 覚えてるんだ。 それくらいは覚えてるよ。 じゃあ、これも。 頼みすぎじゃない。 四か月ぶりだからいいの。 どういう理由だよ。 ねえ。 なに。 さっきの話。 覚えてたか。 当たり前でしょ。 いいことあったの。 まあ、ちょっと。 仕事。 違う。 引っ越した。 違う。 宝くじ。 買ってない。 じゃあ何。 実はさ。 うん。 最近、ある人と会ってて。 ある人。 うん。 え。 ちょっと待って。 まだ何も言ってない。 女の人。 うん。 ええ。 声大きい。 ごめん。 でも、え、ほんとに。 ほんとに。 いつから。 一か月半くらい前。 一か月半。 なんで今まで言わなかったの。 会ってなかっただろ。 メッセージできるじゃん。 まだどうなるかわからなかったし。 それで。 どこで知り合ったの。 健太の紹介。 健太くん。 うん。 前の会社の友だち。 ああ、あの人ね。 何て紹介されたの。 紹介っていうか、最初は三人でご飯食べた。 自然な感じだったんだ。 そう。 健太が急に誘ってきて。 それでその子もいたの。 うん。 名前は。 由奈さん。 かわいい名前。 うん。 何歳。 僕と同じ。 仕事は。 デザイン関係。 へえ。 なんかおしゃれそう。 実際おしゃれだよ。 今ちょっと顔変わった。 変わってない。 変わったよ。 うれしそう。 まあ、好きだから。 ええ。 また声大きい。 だって今、普通に好きって言った。 そうだけど。 ちょっと待って。 私、今すごくうれしい。 なんで君が。 だって、ずっと彼女いなかったじゃん。 そんなはっきり言うなよ。 ごめん。 でも本当でしょ。 まあね。 前に好きだった人のことも、かなり引きずってたし。 それはもう昔の話。 だから余計にうれしいの。 そっか。 で、何回くらい会ったの。 二人では四回かな。 四回。 ちゃんと数えてる。 たまたま覚えてるだけ。 一回目は。 カフェ。 二回目。 映画。 三回目。 水族館。 ちょっと。 なに。 ちゃんとデートしてるじゃん。 まあ。 水族館は誰が誘ったの。 僕。 あなたが。 そんなに驚く。 驚くよ。 昔は誘う前に一週間悩む人だったのに。 今も悩んだよ。 やっぱり。 メッセージ書いて、消して、また書いた。 想像できる。 最後は普通に送ったけど。 なんて。 今度、水族館行きませんかって。 普通だね。 普通でいいだろ。 うん。 それで、向こうの反応は。 すぐ行きたいですって返ってきた。 いいじゃん。 すごくいいじゃん。 そのときはかなりうれしかった。 で、四回目は。 この前の日曜日。 どこ行ったの。 昼にご飯食べて、そのあと公園を歩いた。 うん。 それで。 付き合うことになった。 ええ。 だから声。 ごめん。 でも待って。 もう付き合ってるの。 うん。 おめでとう。 ありがとう。 ほんとにおめでとう。 そんなに喜ぶと思わなかった。 喜ぶよ。 だって大事な友だちだもん。 なんか照れるな。 由奈さんから。 いや、僕から。 あなたから言ったの。 うん。 成長したね。 母親みたいに言うなよ。 ごめん、ごめん。 でも本当にすごい。 かなり緊張したけどね。 何て言ったの。 それは言わない。 なんで。 恥ずかしいから。 少しだけ。 嫌だ。 じゃあ、由奈さんは何て。 うれしいですって。 いいなあ。 すごくいい。 泣くなよ。 泣かないよ。 でも、ちょっと感動してる。 本当に。 うん。 今度会わせてよ。 そのうちね。 絶対だよ。 わかった。 私、変なこと言わないから。 それが一番心配。 失礼だな。 昔の話とかするだろ。 少しだけ。 ほら。 でも安心した。 何が。 最近あまり連絡なかったから。 大丈夫かなって少し心配してた。 ごめん。 仕事も忙しかったし、いろいろ考えてて。 うん。 でも今は大丈夫。 そっか。 よかった。 君も何かあったら言えよ。 うん。 今度は四か月も空けないで。 それはお互いさまでしょ。 確かに。 じゃあ今日は乾杯しよう。 何に。 久しぶりに会えたことと。 あなたと由奈さんに。 まだ会ったこともないのに。 いいの。 じゃあ、乾杯。 乾杯。 本当におめでとう。 ありがとう。 なんか、今日言えてよかった。 私も聞けてよかった。