台湾にも新幹線が走っていることをご存知ですか しかも日本の新幹線システムが導入されているため その車両や運行ノウハウ 車内の様子には親近感を感じるのではないでしょうか 近年半導体産業を中心にシリコンアイランドと呼ばれるほど 台湾が経済成長を遂げられたのは 台湾の南北を約90分で結んでしまう台湾新幹線の存在が大きいとされます 台湾新幹線の新しい駅周辺に始まった開発と経済的発展は全て人の流れがもたらしたものです 地域間の時間距離が短縮されたことで台湾の人々の暮らしは大きく変わりました 台湾の南北を移動して他の都市に行きたいとき台湾新幹線はすでに日常の一部になっています 一方日本では東京名古屋大阪を約1時間で結ぶリニア中央新幹線の工事が進んでおり 新たな経済波及効果が期待されています リニア中央新幹線が日本を変えるということは 東京、名古屋、大阪だけでなく沿線 それどころか日本国土全域を変える可能性があるんです 台湾新幹線の発展目覚ましい沿線各地を取材しながら 高速鉄道でいかに国土が変わるのか リニア中央新幹線が通る日本の未来を展望します 羽田からおよそ3時間 沖縄からは目と鼻の先にある台湾 台湾と聞くと ヨイチの食べ歩きやレトロな建築物 再開発された商業アートエリアなど 観光地としてのイメージが強いかもしれません ですが台湾は今 ハイテク産業における世界的な中心地となっています 台湾の大きさは九州と同じくらい 人口は九州総人口の約2倍の2330万人ほどですが 半導体産業が世界最大規模に急成長し 台湾の実質GDPはこの20年で約2倍に増えました 日本政府からの補助金総額1.2兆円超で 熊本県に誘致され話題となったTSMCも 台湾の半導体受託製造企業です 今後もAIに使われる半導体需要の世界的増加が予測されているため 台湾経済の存在感はマス一方だとされます 国立陽明交通大学名誉教授のフォン・セイニンさんは 台湾のこの急成長を支えてきたのは台湾鋼鉄 いわゆる台湾新幹線だったといいます 高速鉄道には非常に重要な機能として 経済発展の促進があります 移動時間の短縮は経済発展にとって非常に効果的だと私たちは考えており 地域全体を視野に入れた広域連携 つまり資源の総合補完などを促進するために 高速鉄道を建設しました 具体的には台湾新幹線は地方経済の活性化をもたらす 大きな原動力になったといいます 台湾新幹線が地方経済の活性化に与えた影響は いくつかの側面から説明できます まず第一に雇用機会の増加です 台湾新幹線の新しい駅のそばに 多くのスーパーマーケットやアウトレットモールが建設されたため 雇用機会が創出されています 第2は地方の観光産業の発展促進です 台湾新幹線は各地方自治体と連携して それぞれの観光振興に取り組み それにより地方産業全体の価値を高めました 第3は不動産価値の上昇です 新幹線の新しい駅周辺の地価が上昇したことで地方経済の活性化につながったのです それでは台湾新幹線は台湾のどんな場所を走り どのようにして台湾を変えたのでしょうか 台湾はその南北を山脈が縦断し 東部は地震が多発する険しい山岳地帯で 平野が西部に集中しているため人口の約4分の3が西側に住んでいるという特徴があります 西部回廊と呼ばれるその平野部の台北市から高尾市までの345kmを 最短約90分で結んでいるのが台湾新幹線です 台湾新幹線が開業する前台北から高尾まで5時間かかっていました しかし開通してからは5時間が90分になりました もう一つ台湾新幹線が開通してから西部回廊には12の駅が設けられましたが その多くの駅周辺が新しい市街地の開発拠点になりました 一つ一つの都市をさらに発展させる新たな街が育ってきたのです 最終的にはそれらの街をつなぎ合わせることで 西部回廊がひとまとまりになり 回廊式発展と呼ばれる開発モデルが実現しました フォンさんによると交通インフラのない時代 台湾の一日生活圏はそれぞれ7つのエリアに分かれていたといいます 一日生活圏とはそこに住む人々が一日のうちで行って帰るだけではなく 仕事や生活や娯楽をしても帰れる活動範囲のことです やがて1977年に高速道路網が整い さらに台湾をぐるりと一周する鉄道網が完成すると 一日生活圏は3つのエリアまで拡大しました そして2007年に台湾新幹線が開通して以降は 台湾の西部回廊のどこへ行っても 仕事や観光をして帰ってこられる 大きな一日生活圏が誕生したのです 例えば朝出発して台北から台湾新幹線を利用して高尾に行き会議に出席します 終わったら12時頃に駅で弁当を一つ買って新幹線の中で食べながら台北に戻り 午後2時の会議に出席できます さらに夜は台中で食事会があるので 新幹線で台中に移動して食事を楽しんで 台北に帰ることができます 以前は1日に1つの要件しかこなせなかったのに 今は3つのことができるようになりました 台湾新幹線には12の駅があり 日本の新幹線ののぞみやこだまのように 停車する駅の数が異なる新幹線が運行しています 2007年の開業当初は 年間延べ利用者数1555万人でしたが 年ごとに増加し 2025年には前年比4.9%増の延べ8207万人となり 過去最高人数を記録しました 1日平均の利用者数は2024年に21.4万人に達し これは日本の山陽新幹線を上回る利用者数になります 台湾新幹線を経営している台湾鋼鉄のスポークスパーソン ゾウ・ホングーさんは 実は台湾新幹線の開業当初は利用率に伸び悩んでいたといいます 当初台湾新幹線は大きな課題に直面していました 政府が新幹線の路線とその駅を計画した際の考え方は国土開発にあり 駅さえ設ければそれが将来の地域発展を牽引できるというものでした そのため新幹線の駅は在来線である台湾鉄道の駅からは離れた場所に設置されました 台湾鉄道の駅は市街地にありますが新幹線の駅は郊外に作られたため 乗客が駅まで来ることが最初はとても大変で チケットを買うのも一苦労でした 台湾新幹線の開業当初は ひたすら長距離高速輸送の実現を目的としていましたが 19年間の運営を経て気づいたことがあります 新幹線の新たな駅周辺の開発と経済的発展はすべて 人の流れがもたらしたということです 今では海外企業が台湾に会社や工場を設立する際にも 新幹線の駅がある都市を優先的に選ぶようになっています さらに台湾新幹線は かつては大抵のある北部に一極集中していた台湾の経済や 観光そして文化を分散させる役割も果たしてきたといいます 高速鉄道はどの国においても高い経済的価値を持ち 時間距離の短縮によって産業の発展を支える役割を担っています 台湾も例外ではありません 以前はイベントは台北で開催しなければチケットが売れないと言われていました しかし今では南部の都市高尾で国際的なアーティスト 例えばブラックピンクのライブがあると海外からも観客が集まるほどになっています これは台湾新幹線による高速移動がなければ実現しなかったことです 将来的には各県や市がそれぞれ特色あるイベントを開催すると 台湾全土の人々がどこにでも参加できるようになることを願っています 後半では台湾新幹線によって台湾で暮らす人々の生活が今どう変わってきたのかに密着します 台湾新幹線は台湾の南北を一日生活圏として一体化しました 一日で複数の出張先を回ったり観光地をあちこち巡ったりできるようになりました 実際に台湾の人々のライフスタイルは台湾新幹線によってどう変わってきたのでしょうか 夫と子供家族4人で暮らす長さんは台湾北西部の新築という町にある半導体関連企業で営業の仕事をしています 新築は台北から台湾新幹線で約30分の距離にあり 政府主導でハイテク産業集積拠点新築サイエンスパークが作られた台湾のシリコンバレーです 最初に新築に来た十数年前特にこの北側エリアには何もありませんでした 最初の頃は街にお店もほとんどなく 草の方が人の背丈より高く伸びた基地もありました その後人口が増えたのは台湾新幹線のおかげだと思います 新築というのは特別な地域でハイテク企業が集まっているため 仕事面で同じ背景を持っている人が多く住むようになりました そのため暮らす人々の生活習慣、職種、子どもの年齢層、趣味など どれもが似通っていて生活のリズムを保ちやすく 家庭を中心にした生活にはとても適していると思います 長さんはこの日仕事の出張で台湾新幹線に乗ります 向かうのは台湾南西部にある半導体関連企業です 新築から台南へは約70分 長さんはパソコンを開いていました 私はいつも乗車時間を利用して仕事の準備をします そうすることで目的地に着くまでに仕事モードに入れます 新幹線の台南駅で降り タクシーに乗って到着したのは台南サイエンスパークです ここも新築と同じくTSMCなど半導体産業の研究開発とイノベーションがひしめく産業集積地で 近年最大の売上高を上げました 取引先との会議を終えた長さんに もし台湾新幹線がなかったらと聞きました もし台湾新幹線がなかったらどうなるか 多分とても不便です 今の私のように北部と南部を行き来している身からすると 時間の融通性が大幅に下がってしまいます 今日のように新築と台南の仕事を 1日で終わらせるなどほとんど不可能でしょう プライベート面でもとても便利になりました 例えば新幹線でお昼に台南に来て 美味しいものを食べた後 台中に行って友達とアフタヌンティーを楽しんで 夜はまた新幹線で新築に戻り 食事をして一杯飲んだりもできます 台湾新幹線の駅のほとんどは 日本の横浜駅に対する新横浜駅のように 在来線の駅と町からは離れた場所に新たに作られました 例えば台湾新幹線の台中駅や新築駅の場所は 以前は田畑や草地の広がる土地で 現在の姿からは想像がつきません 中華圏において鉄道分野で最多の著作を持つ 鉄道研究者のスー・ジャオシューさんに 台湾新幹線の駅周辺で今どんな産業が活性化しているのか いくつか案内してもらいました ここは新幹線の台南駅すぐの場所で ここ数年で三井アウトレットパークや サロングリーンエネルギー実証エリアが作られました サロングリーンエネルギー実証エリアは 台湾内外の再生可能エネルギー研究開発拠点として作られ 実証テストからビジネスマッチングまで 多くのニーズが満たせる場所だといいます 高速鉄道によって交通の便が良くなると まずは人の流れが多くなり やがて人々が商業を起こし そして物流も良くなって街が大いに発展します 全ての鍵を握るのは交通インフラを整えることなのです スーサンと台湾新幹線に乗り 台南から北上をして新築に向かいます 途中台湾の人々が今最も住みたい都市台中を通りました 台中は古き良き台湾の歴史と現代の台湾カルチャーが融合した街です 新幹線によって北からも南からもアクセスが良くなったことで 多くの観光客が訪れる街に成長しています 新幹線の車中です 平日でしたが多くの利用客がいます 海外旅行でも個人旅行でも仕事の出張でも 台湾新幹線は日常的に利用されるようになっています 台湾のシリコンバレー新築に到着しました 新築は台北への通勤での利用客も多く 台湾新幹線の運行によって地域の経済発展が 最も成功した事例とされています 新築の街が一望できる場所に来ました 2007年に台湾新幹線が開通した当時 新築は台北から比較的近いとはいえ 経済指標となる不動産価格が将来これほど上昇することになるとは 誰も想像していませんでした 全ての都市が新築のように発展できるわけではありません 高速鉄道によって交通の便が良くなることは 外部経済効果をもたらす理由の一つです 大事なもう一つは地元で働く人々に 十分な消費能力が育つことです この二つの要素が合わさって 新しい駅の周辺に大きな経済効果が生まれるのです 鉄道が変われば国土が変わる 台湾は台湾新幹線によって変わったと言えそうです 神戸大学大学院教授の小池敦史さんは 交通インフラの経済効果を専門としています 台湾新幹線という高速鉄道は 台湾で急成長した半導体などの産業に どのような影響を与えてきたのでしょうか 台湾は新幹線ができる前は各地域に小規模な工場があり それぞれに応じて生産はしてたんですが これが新幹線によって地域がつながって より生産性の高い産業が各地域に張り付いて 世界中からの資本が集まりまさに経済成長していく最中ですね 小池さんは過去に台湾政府からの要請で 台湾新幹線によってどのような経済効果が新たに生じるのか 研究協力をしました 現在の台湾の大きく経済発展した姿は どのように分析できるのでしょうか 台湾新幹線があったからこそ この半導体の特選状況を維持できたのではないかという推論は 多分立つと思うんですね 皆さんイメージしたらわかるように新幹線は物流を支えているわけじゃないんですね しかし情報とかあるいはマーケティングこういったものを支えるには非常に重要なポイントになってきますよね アメリカから材料の商談をするときに東円空港に着いて 台中台南の工場を見学するなんていうのは非常にスムーズですよね そういったことが積み重なってこういった市場の独占みたいなことが生まれてきたと 日本では今リニア中央新幹線が建設中です 台湾新幹線によって台北から新地区、台中、台南、高尾までの大都市が一体化したように 東京、名古屋、大阪も一日生活圏として一体化する未来が見えています また台湾新幹線の新しい駅周辺の地域が独自の発展を見せていたように 日本のリニアによって作られる新しい駅の周辺にも 全国や海外から人の流れが生まれて独自の産業が創出されるかもしれません リニア中央新幹線の技術というのは台湾の実例を見ても分かるように 国土全体とか私たちの生活そのものを変えていくんですね このミニア中央新幹線が日本を変えるということは 東京、名古屋、大阪だけでなく沿線 それどころか日本国土全域を変える可能性があるんです 例えば台湾で言えば半導体というコアなビジネスが 世界から要請されそれでうまく機能したという面があるんですね 日本もこれから世界の中心的な産業として 何かキーになるものと大阪、名古屋、東京がまさに一つの都市圏として機能する このメガリージョンが組み合わさって初めて 多分我々が予想しているような良い結果になると 高速鉄道で国土が変わる 台湾は変わりました 日本の国土の未来予想図をどう描くのか 考えるのは今を生きる私たちです